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「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり


家づくりの、その先へ

「ウエノイエを始めた頃から、ただ“上質な家”をつくることだけが目的ではなかったんです。」
そう語る上野さんの声には、静かな確信と、どこか親しみを感じさせる響きがあります。

「住む人の暮らしに寄り添って、その人らしい豊かさを育てる。そのためには、設計の中に“余白”を残すことが大切だと思っています。使い方を限定しすぎず、暮らしの変化に寄り添えるような空間。そういう家が、長く愛されていくんじゃないかと。」

ウエノイエの家には、住まい手の時間が流れ込む余地があります。
設計者の手を離れたあとも、暮らしが育っていく──そんな信頼が、空間のあり方に静かに宿っているのです。

そしてその考えは、やがて「Noue」という新しい挑戦へとつながっていきました。

「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり

「Noue」という気づき

ある時期から、店舗や広い敷地を活かした住まいづくりを望む方々との出会いが増えていきました。地域で事業を営む人たちからの相談も少しずつ届くようになり、ウエノイエの枠組みだけでは応えきれない場面も出てきます。

「住宅を中心にしていたので、そうした声に十分応えられる体制ではなかったんです。でも、関わっていくうちに、“このつながりを広げていったら、すごい可能性があるかもしれない”と気づいたんですよね。」

家という器を越えて、まちの営みとつながる設計へ──その気づきが、Noueのはじまりでした。

「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり

事務所という“場”を編み直す

2024年には、長年使ってきた事務所をスタッフ全員で話し合い、改装することに。きっかけは、日々の働く環境を見直したいという素朴な思いからでした。

「もともとは先代の社長から受け継いだ、6畳の事務所と6畳の打ち合わせスペース。断熱もなく、夏は暑くて冬は寒い。そんな空間を、みんなで手を動かしながら整えていきました。」

改装後は、約40畳の打ち合わせスペースに、水回りと事務所機能を備えた空間へと生まれ変わりました。ただの“働く場所”ではなく、人が集まり、関係が育っていく場として、少しずつその役割を広げていきます。

OB様向けのイベントや業者さんとの集まり。屋根下のガレージスペースでは、外での催しも開けるようになり、場の使い方にも広がりが生まれています。

「空間を整えることで、人が集まり、関係が育っていく。それを実感したことが、Noueを始める大きなきっかけになったんです。」

「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり

まちと、風景と、これから

Noueでは、“街” “旅” “具” “店”という4つの領域を通じて、暮らしと地域の営みに関わっていきます。

  • 街:住まいや分譲地の創造
  • 旅:宿泊施設の設計やリノベーション
  • 具:暮らしの道具や家具の提案
  • 店:人が集うお店づくり

それぞれのプロジェクトが、米子というまちの風景に少しずつ溶け込みながら、静かに広がっていきます。

「Noueは、事業というより“挑戦”なんです。まだ形になっていないものを、手探りで育てていくような感覚ですね。」

空間をつくることは、誰かの営みを支えることでもあります。その場所に人が集まり、関係が生まれ、少しずつ風景が変わっていく──そんな実感が、Noueの根っこにあるのです。

「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり

「場」は、時間とともに育つもの

これからのNoueについて尋ねると、上野さんは少し考えてから、静かに言葉を紡ぎました。

「場って、つくった瞬間に完成するものじゃないと思うんです。人が集まって、関わり合って、時間を重ねていく中で、少しずつ育っていくもの。だからこそ、急がず、丁寧に、歩んでいきたいですね。」

家づくりのその先へ。ウエノイエとNoueの挑戦は、暮らしと営みの風景と共に、静かに、でも確かに進んでいきます。

「つながりの余白を編む」─Noueという場づくり


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